スクールバンドやアマチュア奏者に必要な 「音楽を創り上げるためのアプローチ」
スクールバンドやアマチュア奏者に必要な
「音楽を創り上げるためのアプローチ」
<序文>
“心に響く音楽”とは?
・技術・表現に優れている。
・直向き、奏者の想いが伝わる。
(幼稚園児、高校野球)一生懸命なのはわかるんだけど、気合いの押し売りはNo.
・高まる感情、思い溢れる表現、それを音として体現(具現化する)技術。それを受け取る聴衆。音楽はこれらがあって成立する。
部活動をはじめ、音楽を愛好する皆さんの中で、「技術を磨くこと」に偏り過ぎて一辺倒になっていないだろうか。
・どんな想いで
・どんな音色で
・どういう色彩感で
作曲家から受け取ったからその音楽を、どう奏でたいのか。楽器と対峙し、譜面と対峙したその時に、そこに自分の意志はどれだけあるだろうか。
「表現」は音楽を奏でる上で、大事な両輪の1つである。これこそが心を育てる情操教育であり、音楽レベルを上げるための大切な過程なのではないか。
書かれている音を並べることだけが「技術」なのではなく、奏者としての想いを伴った表現を加えた上でその音楽を奏でることが本来の「技術」であると考える。その音楽を奏でる前に、その音楽に対して感じる自分の感情を紐解き、まずその音楽に対しての自分の音楽表現としっかりと対峙することが大切なのではないか。
①歌う
<何を意識して>
①音の距離
音の距離感=音程
キーやピストン、スライドの位置だけで吹いていて、自分の頭の中にこの距離の感覚(音程感覚)がないと、響きが合わない。
まず、音の距離について考えながら歌うこと。(できる限りキーボードを使って、正しい音で)勝手に歌いやすいキーに下げない(移調)。勝手にオクターブ下げない。
できれば、腕の高さを上下しながら、その音の距離感を体で表現すると、さらに実感しやすくなる。(ソルミゼーション)
②フレージング
<何を意識して>
音が連続する流れの中には、音の高低とともに音楽の進行に伴って、抑揚が生まれる。この抑揚を奏者が具体的に表現すると、フレージングとなる。フレージングは音楽がもともと持っているものであるが、奏者が意識することでより立体的になったり、表現が豊かなものとなる。これは、メロディだけでなく、付随するハーモニーや伴奏でもこの表情は生まれる。特にこの2点は旋律のように抑揚の幅が広くないので、奏者が常に旋律の抑揚を意識した上で、その演奏をしっかりと支えるように表現することで、音楽に立体感と説得力が生まれる。例え、楽譜上は同じ音の連続だとしても、その上に流れるメロディや和音の変化によって、音楽の高まり(高揚・緊張)やゆとり(鎮静、弛緩)が生まれる。そのフレージングが、メロディだけでなく、低音や内声部から生み出されると、より良い音楽の響きとなる。
③並べる
楽譜に書かれている音を、1つずつ正確にダイナミクスやアーティキュレーションを外して、まず均一に音を並べる。一つ一つはっきりと並べることにより、その部分毎の音の響き(和声感)、音の連続性(フレージング)、高揚感を意識し、書かれているダイナミクスや音楽表現記号と照らし合わせる。まずは、1音ずつはっきりと並べることを目的として、息の支え、響き、音域に差があっても音色に差がないように。
④表現する
書かれているダイナミクス、アーティキュレーションをもとに「どういう演奏をしたいか」」どういう音楽をしたいか」という自分の中のイメージや歌い方を具現化(表現)する。音の並びや表現が指定された通りにできない場合、下記の例を参考にさまざまな角度から練習を試みる。
<速度面>
①テンポを落とす
②音を同一音に変えて、リズム通りに音が鳴らせるか練習する。
③リズムを変えた練習。
④アーティキュレーションの変更(オールスラー、オールタンギング、スラーの位置の変更)
⑤テンポを徐々に上げる。
※常に体の動き、息の流れ、表現しようとする自分の内面のエネルギーに着目すること。テンポを上げることで、そのバランスが崩れないように。
⑤重ね合わせる
一人一人のパーツを組み合わせる。
・音色(息のスピード、量)
・バランス(音程内での役割)
・色彩感(サウンドの中心、輪郭)
→同一パートだけでなく、同一フレーズによるセクション。
・重ね合わせた際の全体像の把握。(完成図がわからないと、欠片では何も見えない。)
・ポイントになる部分は、フレーズ終わり、フレーズ始めの和音構成。(4小節目、8小節目や4泊目、1拍目。次のフレーズにアウフタクトがあるときは、2、3拍目など“響きあう場所”の認知を。
まずはいきなり表現をつける前に、自分の感情と対峙しましょう。五線紙に書かれている音の並びと抜き合いましょう。向き合い、音を一度並べた上で、抑揚や感情表現など、少しずつ色づけしていけたらいですね。
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